お知らせ

この記事は1年以上前の記事のため、内容が古い可能性があります。

国府台女子学院 入学式

投稿日2020/4/10

国府台女子学院 入学式

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、4月10日に予定しておりました入学式が挙行できませんでしたので、ここに学院長の式辞及び生徒代表の答辞を掲載させていただきます。

 

令和2年度入学式式辞

令和2年4月10日

国府台女子学院
学院長 平田 史郎

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 また保護者の皆さまも、この度のご息女の入学をさぞお喜びのことでしょう、重ねてお祝い申し上げます。
 しかしながら、予想すらしなかった未曽有の出来事とはいえ、このような形で皆さん方新入生にお祝いの言葉を申し上げなければならなかったことを大変申し訳なく思っています。
 とは言え、朝の来ない夜はありません、私たち国府台女子学院教職員も皆さん方の学習を支援する方策の検討を鋭意進めておりますので、しばらくこの不自由を我慢して事態の好転を待っていてください。
 さて、新入生の皆さんは、これから3年、6年あるいは12年間本学院で学ぶ事になりますが、その最初にこの暗い話題を吹き飛ばすようなお話をして、入学のお祝いのことばにしたいと思います。

 皆さん方は新型コロナウィルスのおかげで入学式もできなかった不幸な学年に生まれた、と考えているかもしれませんが、本当は皆さん全員、例外なく信じられないくらいの素晴らしく幸運な人々なのです。

 皆さんにはお母さんやお父さんがいて、また父母それぞれにもおじいさんやおばあさん、そしてまたそれぞれにひいおおじいさんとひいおばあさんがいますよね、そしてこの3世代14人の内誰か一人がいなくても皆さん方は今ここには存在しないのです。
 1世代遡るごとに祖先の数は倍々に増えていきますから、それを20世代前、だいたい室町時代位までさかのぼると、あなたに命をつないでくれた祖先の数は単純計算だと合計で200万人にもなるというのです。

 さらに、地球の生物の進化の歴史の原点まで遡ると私達の遠い祖先は38億年前に太古の海中に偶然生じた1個の細胞を起源とし、永い年月をかけていくつもの系統に分かれて進化と分化を繰り返し、膨大で多様な生物種が存在する現在の生態系の姿に至ったのです。
 そして、このように皆さんに命を繋げてくれた単細胞生物や腔腸動物や魚類・爬虫類・哺乳類・類人猿そして皆さんへと続く無数の祖先達は、38億年の地球の生物の永い進化の歴史のどの段階でも、幼くして死んだ者は一匹も無く、彼らは無事成熟して異性の伴侶を見つけ、そして少なくても一人の子供を世に送り出す前に敵に倒されたり病気や事故で死ぬことはなかった、だから今ここに皆さんが居るのです。
 同時代に生きた圧倒的大多数の仲間は何処かの時点で生き残りに失敗したのに、皆さんの祖先は誰一人多くの危機に躓くことも無く世代を重ね、こうして皆さん方に命を繋いでくれたのですから、皆さんはその力強くそして幸運な祖先達と自分自身に誇りを持って良いのです。
 
 そればかりか、この考え方に立つと皆さんを含む人間だけでなく、現在この地球上で生きている哺乳類・鳥・爬虫類・魚・昆虫を含めた世界の総ての生物は、生存確率がほぼゼロに等しいような厳しい生存競争を何億世代も連続して勝ち残ってきた稀有な勝者の子孫であり、それぞれが素晴らしいかけがえのない命を生きているということが判るはずです。

 仏教では人間の命だけが尊いのではなく動物も虫も魚も鳥も、生きとし生ける者総ての命は等しい価値を持っている、と説いていますが、これも総ての命が今ここにこうして存在していること自体が、存在確率的には無に等しいほど有り難くかけがえのない存在であり、そして他の総ての有難くかけがいの無い命達と、生かし合い生かされ合うという相互依存関係によってこの世界は存在している、と観るのが仏教の世界観です。

 また、仏教は智慧と慈悲の宗教と呼ばれますが、これは私達に世界は有り難くかけがえの無い命が生かし合い生かされ合って成り立っているということを、正しく見極めることのできる智慧の眼を開くことができれば、同時に私達は総ての他者もまたかけがえの無い命を生きているということに気付き、そして他者の心の痛みを我がことのように感じられる優しい慈悲の心を得る事ができるという教えだからです。

 最後に、新入生の皆さんが本学院で過ごす時間は、皆さん方が心身ともに著しくも成長し、そして将来の夢に向かって着実に自らを成長させる人生で最も重要な時間でもあります。
 スタート時点では新型コロナウィルスのおかげで足踏みを余儀なくさせられましたが、若い皆さんにはまだまだ十分な時間と無限の可能性があります。
 どうか本学院での学びを通じ、世界を正しく見る目と聡明な判断力を養い、あわせて総ての命に対して温かいまなざしを注ぐ事のできる優しい心を持った女性に成長されんことを念じて、お祝いの言葉といたします。

合掌

 

新入生代表 答辞

令和2年4月10日

新入生代表
中学部 金山 祐里

 暖かな春の訪れと共に、私達二〇一名は、国府台女子学院中学部に入学しました。
 私が、この学院に通いたいと思った理由は三つあります。

 まずは、校舎を入ってすぐにある図書館です。とても大きく、また、様々な種類の本や生徒のおすすめ図書コーナーなどがある事に、圧倒されました。そして、多くの本を読む事で幅広い教養を身に付け、社会で活躍するための基礎をつくることができるのではないかと魅力を感じました。

 二つ目は、特色ある年間行事です。運動会などのおなじみの行事だけでなく、漢字コンクールのようなユニークな行事、また、仏教の学校ならではの花まつりなどの行事があり、自分の世界が広がったり、仲間と協力し、絆が深まる機会がたくさんあることに心がひかれました。

 三つ目は、学校見学で一人一人にきめ細かく指導されている先生方、楽しそうに授業を受けている先輩方を見た事です。一つ一つ丁寧に、かつ、楽しく力をつけられる学習ができるのではないかと思い、この学院に通いたいと思いました。今まで学んだことのない仏教の授業や、難しくなる他の教科に不安な気持ちもあります。しかし、今は、不安な気持ちよりも、新しい事に挑戦できるという喜びや楽しみの方が大きいです。

 これからの生活は分からない事だらけです。しかし、あたたかく迎えてくださる学院長先生をはじめ、諸先生方、先輩方にご指導いただきながら、勉強・行事・部活動に真剣に取り組んでいきたいと思います。そして、智慧と慈悲の心を兼ね備えた女性になれるよう、この学院の生徒だと胸を張って言えるよう、努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

在校生代表 歓迎の辞

令和2年4月10日

在校生代表
高等部 河野 愛貴

 桜の便りに心が浮き立つ今日この頃、新入生の皆さん、また保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。在校生一同、心よりお喜び申し上げます。きらきら輝く新入生の皆さんはこれから始まる国府台女子学院での学校生活に夢や希望に満ち溢れていることでしょう。私も初めてこの緑の制服に袖を通した五年前を思い出します。仲の良い友達ができるかな、勉強は大丈夫かなと色々と心配したものでした。しかしそんな心配は無用です。安心して学院生活を送ってください。

 本学院はご存じの通り、いくつかの特徴があります。まずは建学の精神が仏教であることです。仏教行事はどれも大切な意味を持ち、私たちの心に語りかけてくれます。中でも私は釈尊のご誕生をお祝いする花まつりが好きです。私たちはまだ自分の人生を始めたばかりです。悩みや迷いに多々直面します。そんな時にも、自然と仏教の教えは私たちを答えに導いてくれます。

 次は女子校であるということです。いうまでもなく、女子である特徴を大いに発揮できる環境が整っています。私は、本学院で過ごしていくうちにやりたいことが次々と出てきました。スピーチコンテストや留学、クラス委員や生徒会など、自分が新しい事に恐れることなく「挑戦」し、自信を持てるようになりました。皆さんも日に日にご自分が成長していることを実感するはずです。楽しみですね。
 行事としても充実しています。春の運動会では仮装行列はもちろん、応援合戦も盛り上がります。また、学院際も人気のある学校行事で、年々来場者が増えています。各部活動のパフォーマンスは見所満載です。皆さんのご参加を心よりお待ちしております。

 さらに一貫校であることで、学習面では内容の取り組みが早く、安心して勉強ができ、友人との仲も深まります。勉強でわからないことがあれば、先生方は勿論、友人たちとも授業以外の時間で学び合っています。私が本学院で出会った多くの友人はきっと一生の友になると確信しています。

 このように、本学院は特色や伝統があると同時に個性を伸ばすための学習や部活動が盛んな学校です。皆さん一人ひとりが活躍できるように成長を見守ってくださる先生方がいます。悩んだときに親身になって相談に乗ってくださる先輩方もいます。この国府台女子学院との「縁」、そこで育まれる先生や友人との「縁」を感じながら、自分の目標に向かって頑張りましょう。本学院での生活が皆さんにとって有意義になることを願っております。最後になりますが、皆さんの今後の活躍を在校生一同心よりお念じ申し上げ、歓迎の言葉とさせていただきます。


学院中庭風景